21.深層地下水とはどんな水?特徴や利用するメリット、活用方法などをまとめて紹介!
- 地下水
地下水の中でも深い場所にある深層地下水は、飲料水のミネラルウォーターや天然水などに使われているイメージがあるでしょう。
しかし実は、それ以外にも様々な利用方法があり、現在では病院や老人ホーム、宿泊施設などの事業所でも深層地下水の利用が広がっています。
本コラムでは、そんな深層地下水について、どのような特性を持つ水なのか、活用方法や活用するメリットなどを解説していきます。
目次
深層地下水とは
深層地下水とは、地下の多層構造においてもっとも深い地層に存在する地下水のことです。明確な深さの定義はありませんが、一般的には地表から20~30mよりも深い場所にある水を深層地下水と呼び、深い場所だと地下数百メートル数千メートルにも及ぶと言われています。
深層地下水の水源
深層地下水の水源は地表で降った雨水や雪水で、はじめから地下に存在するわけではありません。降った雨水は地中にゆっくりと浸透していき、地層の隙間に溜まっていきます。これが地下水の正体であり、その中でも深い場所に溜まった水が深層地下水とされているのです。
また、地下の地層には水を通しやすい「帯水層」と、水を通しにくい「不透水層」があり、それぞれが交互に重なり合ってできています。このことから地中は「不透水層→帯水層→不透水層→帯水層…」という構造をしていることが分かるでしょう。
そして水が溜まる部分は、水を通しやすい(=隙間が多い)帯水層です。つまり、地下水は地中全体に存在するのではなく、帯水層に多く存在し、その帯水層がある位置によって「浅層地下水(浅い場所にある地下水)」や「深層地下水(深い場所にある地下水)」というように区別されているのです。
深層地下水の水質は良いのか
深層地下水の中には、ナチュラルミネラルウォーターとして表記された、熱殺菌、ろ過を一切しないで天然水をそのまま充填したものが販売されています。
しかし、全ての深層地下水がそうではなく、基本的には殺菌消毒を行い、食品衛生法の安全基準を満たした上で販売しています。
地下水はもともと、地表で降った雨水が地中に浸透して溜まったものだと説明しましたが、その過程で水中に含まれる汚れや微生物、有害物質などが地層のろ過作用によって少しずつ取り除かれていきます。
そのため、全てにおいて当てはまるものではありませんが、きれいな砂層の地層を通過した場合は、地下深くになればなるほどろ過作用が働き、不純物質の少ないきれいな水に近くなるというわけなのです。
反対に、鉄分の多い第三紀層などを多く分布する地区であれば、深くなるとどんどん水質が悪くなるケースもあります。
深層地下水のその他の特性
深層地下水は、比較的水質がきれいであることの他にも水量が安定しているという特性を持ちます。
一般的に地表近くの地下水は、土壌の汚染や降水量の変化、気温の変化などといった周囲の環境に左右されやすく、水量や水質が安定しないといわれています。
一方で、深層地下水は地下深くにあることから、周辺環境の影響を受けにくく、常に一定の水が蓄えられています。つまり、深層地下水は地下水の中でも使い勝手が良く、私たちの生活のさまざまなシーンで利用されているのです。
水処理について詳しくは
こちらもご覧ください。
深層地下水の用途
深層地下水の主な用途には、飲用を含む生活用水、工業用水などがあげられます。深層地下水の種類によっては、温泉としても利用している地域もあるようですが、ここでは、生活用水・工業用水の2つについて解説します。
生活用水
生活用水とは、飲料用、調理用、浴用など日常的に利用する水のことです。適切な水処理を行えば水道水同様に使えるため、大量の生活用水を必要とする病院などの施設で活用されています。
また、生活用水は私たちの人体に直接触れる水なので、健康被害を防ぐためにも徹底した衛生管理が必要です。利用する際は、くみあげる深層地下水の水質に応じた水処理を実施し、水道法で定められている規定内の水質にしてから利用しなければなりません。
工業用水
工業用水は、工場や製造施設での生産ライン、機械、冷却などの多くの目的に供給されます。そのほか、食品製造や化粧品の原料用などにも利用されています。
機械の冷却や洗浄においては、生活用水ほどの水質は求められません。しかし、食品製造や化粧品の原料用は直接人間に影響のあるものなので、法令に従い適切な水処理を行った深層地下水を利用する必要があります。
深層地下水を利用するメリット
深層地下水を利用するメリットは、深層地下水の特性でも紹介したように、水質・水量が安定していることが関係しています。それではここで、深層地下水の特性を生かして利用するメリットを説明します。
水源の二元化ができる
水質・水量が安定している深層地下水を活用することは、生活に必要な水源が二元化できるようになるということです。そのため、水道コストの削減や断水時の備えとして非常に有用だとされ、様々な業界や分野から注目を浴びています。
特に日常的に多くの水を必要とする病院などの施設では、月々の水道料金が大幅に抑えられるだけでなく、災害時の施設利用者の安全確保と事業継続が可能になるという大きなメリットも考えられるでしょう。そのことから、現在では多くの施設で深層地下水を活用する動きが広がっているのです。
深層地下水を利用する方法
様々な用途がある深層地下水ですが、実際に利用する場合は、どのような手順が必要なのでしょうか。ここでは、深層地下水を汲み上げる方法と安全に利用するために必要な工程を解説します。
深層地下水を汲み上げる井戸を設置
深層地下水を利用するためには、地面を掘って水を地上まで汲みあげるための揚水管とポンプを設置する必要がありますが、井戸はどこでも掘削して良いわけではなく、自治体によって揚水規制(地下水採取規制)を制定している場合があります。
揚水規制は、地下水を守るため、また地盤沈下や塩水化などを防ぐ目的で制定されているため、必ず各自治体の条例に従って、適正な揚水量を守り採水する必要があります。
深層地下水の水質を安全なものに処理する
深層地下水は、法律(水道法)に従い、浄水や消毒など適切な水処理を行い利用するようにしましょう。
私たちゼオライトでは、水処理装置の中でも最も高度な処理である「逆浸透膜(RO膜)」といった膜処理技術を得意としています。
また、水処理装置の導入前に必要な、地下水が出るかの水源調査から揚水規制と法令確認、行政への協議・申請も弊社にて実施しておりますので、深層地下水の活用に必要な工程については一貫してお任せください。
深層地下水の活用に関するご相談はゼオライト株式会社へ
ゼオライト株式会社は、水処理プラント及びメンテナンス事業を軸に、50年以上に渡ってお客様の期待を超える「良質な水」と「サービス」を提供し続けてまいりました。
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