2025年2月12日

上水・中水・下水の違いとは?日常生活を支える水道インフラの仕組みと処理プロセスについて

  • 水処理
上水・中水・下水の違いとは?日常生活を支える水道インフラの仕組みと処理プロセスについて

日々の生活に欠かせない水道インフラには、「上水」「中水」「下水」という3つの異なる種類があります。それぞれが果たす役割は違い、私たちの生活や環境に与える影響も多岐にわたります。

上水は飲料水や生活用水として私たちの健康と安全を守り、中水は再利用可能な水資源として無駄なく活用し、下水は汚水を適切に処理して環境を守る役割を担っています。

この記事では、これら3つの水道インフラの違い、それぞれの処理プロセスや用途について詳しく解説します。

上水・中水・下水の違い|基本構造と役割

水道インフラの基本構造と役割

水道インフラは、人々の生活を支える重要な基盤であり、供給される水の用途や安全性によって、上水・中水・下水の3つに大別されます。それぞれが異なる役割を持ちながら、水資源の管理と利用を実現しています。

上水は、飲用や調理、衛生的な目的で使用される水です。上水は厳しい水質基準を満たすように浄化され、公共水道などを通じて家庭や施設に供給されます。この仕組みによって、安全で清潔な水が私たちの生活を支えています。

中水は、トイレの洗浄や灌漑(かんがい)、工業用水など、飲用以外の目的で利用される水です。中水は、一度使用された水や雨水を再利用するケースも多く、効率的な水の循環利用を促進します。このため、環境保護や水資源の節約に大きく貢献しています。

下水は、使用後の汚れた水を指します。生活排水や工場排水を含む下水は、汚染物質を含んでいるため、そのまま放流することは環境に悪影響を及ぼします。そこで、下水は下水処理場で浄化されてから、川や海に放流される仕組みになっています。

これらのすべてが連携することで、私たちは清潔で快適な水を用いた生活を送ることができているのです。

上水とは:中水や下水との違い

上水(飲料水)の処理プロセス

上水とは、飲料水をはじめ、私たちの生活に必要な水全般を指します。具体的には、飲用だけでなく、お風呂やトイレで使用される水も含まれ、私たちの生活に欠かせない存在です。

水道は、「導管及びその他の工作物により、水を人の飲用に適する水として供給する施設の総体」と定義されています。(参考:厚生労働省「水道事業の概要と水道を取り巻く状況」)。

また、上水道と言う言葉は、水道法においては給水人口が5000人を超える水道事業を上水道事業、給水人口が101人以上5000人以下の水道事業を簡易水道事業と分類されています。

上水の処理プロセス

では、この上水がどのような工程を経て安全で清潔な飲料水になるのか、取水から配水までの一連のプロセスを解説します。

上水の処理プロセス

川や湖、ダムなどの水源から取水した水は、まず沈砂池で砂や泥などの大きな不純物を沈めて透明度を高めます。

その後、着水井で流れを均一にし、混和池で薬品を加えて水中の微細な汚れを集め、フロックと呼ばれる塊にします。このフロックは沈殿池で沈み、上澄みのきれいな水だけが次に進みます。

そして、水は砂や砂利のろ過層を通って細かい汚れや微生物を取り除きます。その後、塩素を加えて消毒し、安全な飲料水としての基準を満たします。この水は浄水池に貯められてから配水池へ移され、配水ポンプで圧力をかけて配水管を通じて家庭や公共施設に届けられます。

上水の課題

上水の課題には、コストや安定供給、安全性の確保といったさまざまな側面があります。特に、公共水道への依存度が高い現代社会において、災害時に水道が使用できなくなるリスクや、水道料金の上昇による経済的負担が深刻化しています。

また、水質の向上や維持においても、地域や用途によって異なる要件に対応する必要があります。これらの課題は、個々の施設や地域ごとに異なるため、柔軟で効率的な解決策が求められています。

上水に関してゼオライト株式会社にできること

ゼオライト株式会社は、上水の課題に対して、さまざまな解決策を提供しています。

まず、ゼオライト株式会社が提供する地下水利用システムは、ホテルや病院、商業施設など大量の水を必要とする施設に最適です。このシステムでは、深層地下水を活用することで水道料金の削減が可能となり、さらに水インフラの二元化により災害時の水供給を実現することができます。これにより、安定した水供給が確保され、施設の運営をサポートします。

また、ゼオライト株式会社は高度な水処理技術を駆使して水質を向上させ、経済性、安全性、地域貢献を包括的にサポートします。これによって、より美味しく、安全な水を提供することができ、地域の水供給に貢献しています。

さらに、公共水道の補完としても利用されています。特に給水制限地区や過疎地域、また災害時においては、井水プラントが重要な役割を果たします。

災害時には迅速に給水確保ができるほか、公共水道の給水制限地区にある施設や、水を多く利用する施設への設置が進められています。現在は主に民間施設向けですが、自治体への導入もあり、今後さらに導入を拡大していく予定です。

▶︎事例
SUBARU健康保険組合 太田記念病院

中水(雑用水)とは:上水や下水との違い

中水(再利用水)とは?用途と利点

中水(雑用水)とは、飲料水としては使用できないものの、さまざまな用途で利用可能な水です。その品質には厳格な基準が定められています。

中水の衛生基準は、主に以下の条件を満たさなければなりません。(参考:厚生労働省建築物環境衛生管理基準

  • し尿を含む水を原水として使用しないこと
  • pHは5.8以上、8.6以下(水質が過度に酸性またはアルカリ性にならないようにするため)
  • 臭気が異常でないこと
  • 水の外観がほとんど無色透明であること
  • 大腸菌が検出されないこと
  • 濁度が2度以下

これらの基準を満たすことで、中水が安全に使用できるようになります。

中水の処理プロセス

家庭や施設から出る排水を再利用し、中水に変える場合の処理プロセスについて解説します。

中水の処理プロセス

まず、排水が集められ、粗い異物や大きな汚れが取り除かれる前処理が行われます。

その後、MBR(膜分離活性汚泥法)にて効率的に排水を処理します。MBRとは、精密ろ過膜(MF膜)を使用して活性汚泥を分離する技術で、従来の方法より省スペースで設置が可能です。。

中水の基準を満たすため、除濁ろ過装置や活性炭ろ過装置などを用いて適切な水処理を実施します。

最終的に消毒処理が行われ、細菌やウイルスが無害化され、中水として利用可能になります。処理された中水は、例えばトイレの洗浄水や散水などに使用されます。これにより、水資源が有効に活用され、環境への負荷を軽減することができるのです。

中水の課題

中水利用における課題は多岐にわたります。たとえば、発生する汚泥の処理や、造水にかかるコストの低減などがあげられます。

また、散水用水や修景用水などの公的機関が定める水質基準、処理装置の設計指針の整備が必要です。

このように、技術面だけでなく制度面での課題も解決すべき重要なポイントとなっています。

中水に関してゼオライト株式会社にできること

ゼオライト株式会社は、建物内で発生する排水を再利用するシステムを提供しています。

ゼオライト株式会社の中水処理システムは、汚濁負荷が低く、水量が安定している排水を活用することで、水のリサイクルを実現します。この仕組みにより、環境への負荷軽減と経済的なメリットを同時に追求することが可能です。

具体的な導入事例としては、商業施設における厨房排水の再利用や、温浴施設やホテルでの浴槽排水の再利用があります。また、食品工場やその他の工場では、洗浄水や冷却水を同じ用途で再利用するだけでなく、温水の熱回収を行うことで省エネルギー効果を高め、CO2排出量の削減にも寄与しています。

これにより、施設全体の運用コストを抑えつつ、環境負荷を低減することが可能になります。

▶︎事例
ホテル日航福岡

下水とは:上水や中水との違い

下水(汚水)の処理方法とその重要性

下水(汚水)は、家庭や工場などから排出される生活排水や工業廃水を指します。これにはトイレや風呂、台所、工場などから出る生活排水や工業排水、雨水などが含まれます。

下水はそのままでは環境や人々の健康に悪影響を与える可能性があるため、適切な処理が必要です。

下水の処理プロセス

下水処理のプロセスは、汚水の水質を改善し、自然環境に適した水へと再生させるために行われます。ここでは、下水処理の基本的な方法について説明します。

下水の処理プロセス

まず、排水は排水管を通って公共の下水道管に送られ、生活排水や雑排水が集められます。

次に、下水は沈砂池に送られ、大きな異物や砂、小石が分離されます。その後、ポンプで処理施設に送られ、第一沈殿池で固形物や有機物を沈殿させます。

続いて反応槽で微生物を用いて有機物を分解し、第二沈殿池で汚泥を分離します。分離された汚泥は汚泥処理施設で処理されます。

最終的に、残った水は塩素接触槽で細菌やウイルスが殺菌された後、環境基準を満たした安全な水が、河川や海に放流されます。

下水の課題

下水処理システムにはいくつかの課題が存在しています。まず、下水道を支える職員の減少が問題となっています。人手不足が進む中で、適切な管理と運営が難しくなりつつあるのです。

次に、下水道施設の老朽化が進行し、設備の更新や維持にかかるコストが増加しています。また、将来の下水道使用料の減収も懸念されており、住民数の減少や効率的な水使用が進む中で、収入源の確保が難しくなっています。

さらに、都市部以外の地域では、大規模な下水道システムを維持するのが困難なため、下水道設備の負荷軽減する目的で、小規模分散型システムの導入が求められております。

下水に関してゼオライト株式会社にできること

ゼオライト株式会社は、排水処理プラントを活用して、工場排水、雑排水(し尿を除く)の処理を行うことができます。

このプラントでは、特に工場からの排水を処理する際に、下水放流基準や河川放流基準を満たす水質にまで浄化することが可能です。これにより、排水が環境への影響を最小限に抑え、安全に放流されることが保証されます。

ゼオライト株式会社は、排水処理技術を通じて、持続可能な環境保護と法的な基準に適合した排水管理を実現しています。

水処理プラントに関するご相談はゼオライト株式会社へ

ゼオライト株式会社は、水処理プラント及びメンテナンス事業を軸に、50年以上にわたってお客様の期待を超える「良質な水」と「メンテナンスサービス」を提供し続けてまいりました。

高い技術提案力とお客様第一主義の精神で、井戸や井戸水(井水)にまつわるお困りごとを解決いたします。

【ゼオライトの実績】

  • 逆浸透膜プラント500件以上(専用水道での国内導入数No.1)
  • 水処理プラント納入実績1,400件以上

小型の業務用装置から大規模プラント、災害対策用ユニット型浄水設備まで、幅広い対応が可能です。

「まずは井戸水について知りたい」という方も、お気軽にご相談ください。

水処理について詳しくは
こちらもご覧ください。