5. 井戸掘削(さく井)の基礎知識|工法・工事内容・地下水の活用事例
- 井戸水
本コラムでは、井戸掘りの流れや工程、工法など、井戸掘削(さく井)の基礎知識について解説しています。
また、井戸から汲み上げた地下水を事業運営に活用されている事例もご紹介していますので、井戸の掘削工事や地下水の導入を検討されている方は、ぜひ参考にご覧ください。
井戸掘削(さく井)とは
井戸掘削(くっさく)とは、さく井機械等を用いて「さく井(さくせい)」を行う工事のことで、さく井とは井戸を掘る作業を指します。専門性の高い作業の為、500万円以上のさく井には、さく井工事業の建設業許可が必要となります。ゼオライト株式会社は許可を取得しており、一級さく井技能士が複数名在籍しています。
主に深井戸を掘る際に実施される工事で、弊社では深層地下水を取水するために100〜150mまで掘削することが多いです。
井戸の仕組みや種類については「4. 井戸の仕組みとは?種類と特徴・ポンプの原理・井戸水のメリットについて」でご紹介しておりますので、併せてご覧ください。
井戸の掘削工法
井戸の主な掘削工法は「パーカッション方式」「ロータリー方式」「エアハンマー方式」の3種類です。
各工法の掘削方法と特徴、メリット・デメリットについてご紹介します。
井戸の掘削工法①:パーカッション方式
掘削深度 | 〜200m未満 | |
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メリット |
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デメリット |
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パーカッション方式とは、ワイヤーロープの先に1.5〜2トンの掘削ビットを吊り下げ、ロープを上下させて地面に衝撃を与えながら突き崩していく掘削工法です。パーカッションと聞くとドラムやシンバルのような楽器を連想する方も多いと思いますが、本来は二つの硬い物体がぶつかり合う際の衝撃や衝突という意味があります。
地面を突き崩す工法ですので、砂れき層のような柔らかい地層の掘削を得意とする反面、火成岩や変成岩といった硬い地層には不向きとなっています。加えて、掘削時の作業音や振動が大きいという点もデメリットとして挙げられるでしょう。
一方で、掘削時に発生した砂れきはポンプで吸い上げるため仕上がりが良く、取水効果も高いというメリットがあります。
井戸の掘削工法②:ロータリー方式
掘削深度 | 〜1500m未満 | |
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メリット |
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デメリット |
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ロータリー方式とはトリコンビットと呼ばれる先端部品を回転させて掘削する工法で、堀くず(スライム)は泥水などの削孔流体を介して地上に流送します。
泥水の産廃処理費用がかかる点や、取水効果の低下が懸念される点がデメリットとしてあるものの、作業音や振動音が少なく、地層を選ばないことから、深部の掘削まで対応が可能となっています。
井戸の掘削工法③:エアハンマー方式
掘削深度 | 〜250m未満 | |
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メリット |
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デメリット |
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エアハンマー方式とは、ボーリングマシンの先に取り付けた掘削ビットをコンプレッサーから送った圧縮空気でピストンさせ、地面を強く打撃しながら掘削する工法です。
パーカッション方式と同様に大きな衝撃音が発生しますが、大変パワーのある掘削工法のため硬い地層の掘削を得意とし、掘進速度が非常に速いという特徴があります。さらに、掘削と同時に帯水層の深さや水量の計測も可能なことや、ケーシング(※)もできることから、最もスピーディーな掘削工法となっています。
※:井戸の中に入れる内枠や仕上げ管及び、それらを設置する作業のこと。
水処理について詳しくは
こちらもご覧ください。
井戸掘削の工程と工事の流れ
井戸の掘削作業は、大まかに以下の流れで工事を進めていきます。
①機材の搬入・組立
②掘削工事(さく井工事)
③井戸孔内の洗浄・電気検層・ケーシング管の挿入
④揚水試験
⑤原水水質分析
⑥井戸仕上げ工事
⑦撤去・機材搬出
それでは、各工程と施工内容について見ていきましょう。
工程①:機材の搬入・組立
機材の搬入後、掘削する位置にさく井機械や周辺機材を設置していきます。
足場が悪い場所や地盤を保護する必要がある場所では敷鉄板と呼ばれる鉄板を、住宅街など騒音問題が発生する恐れのある場所では防音壁を仮設します。
工程②:掘削工事(さく井工事)
掘削工事(さく井工事)では、深度や地層、地盤、取水目的等に応じた工法で掘削を進めていきます。
施工期間は規模によって変動しますが1〜3ヶ月ほどとなっています。
工程③:井戸孔内の洗浄・電気検層・ケーシング管の挿入
井戸の掘削作業完了後は、井戸孔内の洗浄を行います。
電気検層とは、井戸孔内の地層に電極を下げて電気抵抗率や自然電位を調べる技術と一連の検査のことで、取水に適した帯水層であるかを判断します。その後、ケーシング管の挿入を行いますが、エアハンマー方式で掘削した際は掘削時に挿入が完了しているので、この工程は省略されます。
工程④:揚水試験
揚水試験とは、掘削を終えた井戸の揚水量や地下水位との関係、帯水層の状態等を調査する試験です。
掘削した井戸から実際に揚水し、周辺への影響調査や流速の測定試験、帯水層別試験といった様々なパターンの試験を実施していきます。
工程⑤:原水水質分析
地下水は深度や帯水層、周辺環境などによって水質が異なるため、安全に使用できる水かどうか、目的に応じた様々な検査基準をクリアする必要があります。
工程⑥:井戸仕上げ工事
揚水試験や原水水質分析の結果を元に、設置するポンプや設備の選定と設計を実施し、仕上げ工事を進めていきます。
井戸の汲み上げ方式に関しては「4. 井戸の仕組みとは?種類と特徴・ポンプの原理・井戸水のメリットについて」で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
工程⑦:撤去・機材搬出
仕上げ工事完了後、地下水の濁りがなくなるまで汲み上げを行い、機材の撤去・搬出を持って井戸の掘削作業が完了となります。
ゼオライトの井水浄化システムとは
ゼオライトの井水浄化システムは、およそ100〜150mの深さにある深層地下水を揚水し、目的に応じた水処理を施すプラントです。工事完了後は水道の蛇口をひねるだけで水処理された安全な井戸水(井水)を利用することができ、災害時の水源確保や水道料金の経費削減に貢献します。
特に、海水の淡水化も可能な逆浸透膜(RO膜)を活用したシステムは、純度の高い水を大量に必要とする病院や工場、ホテル、商業施設でご好評いただいています。
詳しくは「事業紹介ー井水浄化システム」をご覧ください。
なお、井戸掘削を含む水処理プラントの設備工事に伴って断水・停電することはありませんので、日頃の業務を停止いただく必要はありません。
井水浄化システム導入の流れについては「導入の流れ」をご覧ください。
地下水の導入例(井水浄化システム)
実際に地下水を事業運営に活用されている株式会社JR小倉シティ(旧小倉ターミナルビル株式会社)様と医療法人厚生会 道ノ尾病院様の事例をご紹介します。
導入事例①:株式会社JR小倉シティ(旧小倉ターミナルビル株式会社)様
株式会社JR小倉シティ(旧小倉ターミナルビル株式会社)様が運営されている小倉駅及び複合施設「アミュプラザ小倉」は、1日11万人以上の利用者がいることから、自己水源を確保するため平成13年よりゼオライトの井水浄化システムをご利用いただいています。
しかし、導入して10年あまりが経過した頃、大規模修繕を控えて、地下水の利用をやめて公共水道への全面切り替えが検討されることとなりました。
地下水の活用是非について協議が進む中、最優先すべきは『お客様の安全』という観点から、あらためて自己水源の必要性を再確認され、引き続き地下水と公共水道の二元給水が採用されることとなりました。
ご担当者様からは「以前のプラントからさらに改良を加えて、コンパクトで整頓されたプラントとなり、とても満足しています。また、今回最新の遠隔監視装置を設置し、プラントの稼働状況がリアルタイムで簡単に確認が出来る様になったため、施設管理に非常に役立っています。」とご好評いただいています。
インタビュー全文は「事例インタビュー:株式会社JR小倉シティ(旧小倉ターミナルビル株式会社)」からご覧いただけます。
導入事例②:医療法人厚生会 道ノ尾病院様
自然に恵まれた医療法人厚生会 道ノ尾病院様は、昭和35年の開院当初から井戸水(井水)を使用されていました。
しかし、スケール障害(※)の発生によってボイラーや空調機器の故障が起こるようになり、また、井戸水を軟水化する際に大量の塩を投入する必要があったので、その補充作業を負担に感じておられたことから、ゼオライトの井水浄化システムを導入いただきました。
導入後はスケール障害や配管の腐食がなくなり、また、施設のあらゆる場所に大量の塩を運ぶ必要がなくなったため、負担が軽減されたとのことです。それだけでなく水道料金を大幅に削減することにも繋がったとお喜びいただいています。
インタビュー全文は「事例インタビュー:医療法人厚生会 道ノ尾病院」からご覧いただけます。
※:スケール障害とは、カルシウムやマグネシウムといった硬度成分が水分の蒸発や加温等によってスケール化(固体が分離)してしまうこと
井戸掘削(さく井)に関するご相談はゼオライト株式会社へ
ゼオライト株式会社は、水処理プラント及びメンテナンス事業を軸に、50年以上に渡ってお客様の期待を超える「良質な水」と「サービス」を提供し続けてまいりました。
高い技術提案力とお客様第一主義の精神で、井戸の掘削工事に関するお困りごとを解決いたします。
【ゼオライトの実績】
- 逆浸透膜プラント400件以上(専用水道での国内導入数No.1)
- 水処理プラント納入実績1,000件以上
小型の業務用装置から大規模プラント、災害対策用ユニット型浄水設備まで、幅広い対応が可能です。
「まずは井戸の掘削について知りたい」という方も、お気軽にご相談ください。