2023年4月11日

8.逆浸透膜で水を処理する仕組みとは?メリット・デメリットも紹介

  • 水処理

人口増加による水不足が懸念される現代において、安全な水を安心して利用できることが、世界的に急がれています。そこで注目されているのが「逆浸透膜」です。逆浸透膜は水処理に使用されるろ過膜の一つで、非常に高い清浄性をもつことから、多くの水処理などに活用されています。

本記事では、逆浸透膜についての概要や仕組みなどを紹介します。また、実際に逆浸透膜を導入する際に知っておきたいメリットとデメリットも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

水処理に用いられる逆浸透膜とは

逆浸透膜はRO膜(Reverse Osmosis Membrane)とも言い、原水をろ過する際に使われる「ろ過膜」の一つです。

非常に微細な網目(孔)のフィルターでできており、他のろ過膜(精密ろ過膜・限外ろ過膜)よりも高いイオンレベルでの浄化が可能です。

逆浸透膜の歴史

逆浸透膜はもともと、水不足対策として1960年代にアメリカで開発された技術で、その内容は、海水を浄水して飲料水に変えるというものでした。

海水を飲料水にする際、まずは海水を淡水に変える必要があるのですが、逆浸透膜以外に「蒸発法」や「電気透析法」でも淡水化ができます。しかし、これらの処理法は消費エネルギーが大きく、環境面にもコスト面にもデメリットが多いことから「逆浸透法」が普及したのです。

1981年には、水道環境のないNASAのスペースシャトル内でも、逆浸透膜が実験的に利用されました。トイレなどの排水を飲料水に再生することに成功し、その浄水効果は確実なものとなったのです。

これを機に、世界中に逆浸透膜の技術が広がり、現在では、家庭用の浄水器、病院や工場の水処理プラントなど身近な場所でも逆浸透膜が使われるようになったのです。

逆浸透膜の浄水力

逆浸透膜は超微細なフィルターによって、他のどのろ過膜よりも多くの物質を確実に除去します。

細菌ウイルス類であれば100%、農薬やダイオキシンなどの有害物質であれば95%以上も取り除くことができます。

また、ヒ素やマンガン、放射性物質といった非常に危険な物質を含む水でさえも、高い除去性能により、純水に近い水を作ることができるのです。

なお、放射性物質の除去に関しては、逆浸透膜が唯一の有効な方法だと言われています。

逆浸透膜の仕組みと構造

逆浸透膜の仕組みと構造

ろ過膜の一つである逆浸透膜ですが、どのような仕組みで水をろ過するのでしょうか。また、構造や素材がどうなっているのかも紹介します。

逆浸透膜で浄水できる仕組み

逆浸透膜の仕組みは「浸透現象」の原理を逆に利用して、水分子と水分子以外の物質を分離させて浄水しています。

浸透現象とは、半透膜で純水と不純水を仕切った場合に起きる水の動きのことで、「純水→不純水」の流れで水が移動します。これは、濃度の低い液体が濃度の高い液体に溶解する原理と同じです。

逆浸透膜では、この浸透現象と逆の水の流れを作り出すことで、原水から不純物を取り除き、純水に近い水だけを取り出すことができるのです。

なお、浸透現象を逆に利用するためには、不純水側に圧力をかけて水の動きを「不純水→純水」にします。この時に発生する圧力が逆浸透圧として、大きなエネルギーが必要となります。また、不純水の塩水濃度が高くなればなる程、浸透圧は高くなり大きなエネルギーが必要となります。

逆浸透膜の構造

逆浸透膜は超微細な網目のフィルターが何層にも重なってできています。この網目は0.0001マイクロメートルと非常に細かく、水分子より大きいものは通過させません。

そのため、さまざまな細菌ウイルスや農薬などの有害物質を徹底して取り除き、非常に安全性の高い水を作り出すことができるのです。

また、これだけ微細な網目のフィルターが何層もあれば、不純物によって網目が目詰まりする可能性もあります。しかし、逆浸透膜では水圧を利用するため、網目を通過できない不純物は圧力によって外部へ押し出されるのです。

逆浸透膜で浄水するメリット・デメリット

逆浸透膜を導入する際に知っておきたいメリットとデメリットを確認していきましょう。

逆浸透膜で浄水するメリット

非常に高い清浄性

他のろ過膜では取り除くことが難しい物質にも対応している点が、逆浸透膜の最大のメリットだと言えるでしょう。

逆浸透膜の網目は非常に細かく、ナノレベルの分子も分離することができるため、水中に溶け込んでいる水分子以外の物質は高い除去率で浄水します。

災害対策になる

災害が起きると水道は断水し、復旧までにも時間がかかります。水は生死に関わる非常に重要なものなので、普段から確保しておく必要があるのです。

逆浸透膜の水処理システムがあれば、地下水や排水も清潔で安全な水へと浄水することができます。

特に病院などの施設では大量の水を確保しておく必要があるため、地下水の活用はいざという時に必ず役立つでしょう。

水道代のコストダウン

病院や工場など、日常的に大量の水を使用する事業所において、排水や地下水を活用すれば水道コストの削減に繋がります。

もちろん水処理プラントを導入する際のイニシャルコストはかかりますが、長期的にみると水道経費を抑えることができるのです。

逆浸透膜で浄水するデメリット

ミネラル成分まで除去してしまう

逆浸透膜で浄水すれば、不純物を徹底して除去できる反面、ミネラル成分も除去してしまいます。つまり、純水に近い飲料水となるため、美味しい水にはなりません。美味しさを求めるのであれば、人工的に天然ミネラルを添加することが望まれます。

配管が腐食しやすい

一般的に、逆浸透膜で浄水した水は配管の腐食傾向が強くなるため、さびや腐食が発生しやすくなります。しかし、これに関してはメンテナンスや事前の対策を徹底することでほとんど回避できるでしょう。

ゼオライト株式会社では、スケールや腐食障害が発生しないように、独自のノウハウを駆使し、特にステンレス給湯配管のトラブル防止に努めています。

逆浸透膜のご相談はゼオライト株式会社へ

ゼオライト株式会社は、水処理プラント及びメンテナンス事業を軸に、50年以上に渡ってお客様の期待を超える「良質な水」と「サービス」を提供し続けてまいりました。

高い技術提案力とお客様第一主義の精神で、井戸や井戸水(井水)にまつわるお困りごとを解決いたします。

【ゼオライトの実績】

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