2023年4月18日

9.水循環の仕組みとは?わたしたちの生活との関係性から見る課題も解説

  • 水処理
水循環のイメージ画像

人々の生活に潤いを与え、産業の発展にも大きく貢献してきた「水循環」ですが、どのような仕組みで私たちに関わっているのでしょうか。本記事では、水循環についての仕組みや懸念される問題点などを解説しています。ぜひ参考にしてください。

水循環の仕組み

水循環とは、地球上の水が「海→雲→雨→川→海」という流れで絶えず循環している自然の原理のことを指します。

一般的には、この自然によるものが水循環とされていますが、もう一つ、人工的な水循環もあります。

それでは、それぞれの仕組みについて違いや特徴を見ていきましょう。

自然による水循環の仕組み

地球上の水が自然の原理によって循環している「水循環」ですが、具体的にはどのような流れで循環しているのでしょうか。自然による水循環の流れは次の通りです。

「太陽のエネルギーによって、海の水分が蒸発し大気中で雲となる→雲に含まれる水蒸気が雨となって地上に降る→地上に降った雨が川や地下水となる→川や地下水の水がやがて海へと戻る」

この一連の流れを絶えず繰り返すことで、地球上の水は循環しています。また上記以外にも、降った雨水を吸収した植物が葉っぱなどから水分が蒸発し、雲となるなどの流れもあります。

人工的な水循環の仕組み

人工的な水循環とは、その名の通り、人々が生活する中で生じる水の流れです。飲料水や調理に使う水、トイレや洗濯、工場で使われる水など、様々な場面で使われます。

そもそも私たちが使う水のほとんどは川から来ており、使い終えた水は下水などを通じてまた川に戻ります。具体的な循環の流れは次の通りです。

「川の水を浄水して水道水にする→水道水からお風呂や洗濯の水を使う→使用後の水は排水として下水処理を行う→下水処理した水を川に放出する」

自然の水循環と違って人工的な水循環には、その過程に汚水が含まれています。汚水をそのまま川に放出してしまうと、川だけでなく海も汚染され、そこに住む生物や環境そのものに悪影響を及ぼします。そのため、生活排水は適切に水処理を行う必要があるのです。

水処理について詳しくは
こちらもご覧ください。

水循環の仕組みにおける問題点

近年、世界の人口増加や地球温暖化が要因となって、水循環に悪影響が生じています。水循環が正常に行われなくなることで、自然災害や水不足といった問題に繋がっているのです。

気候変動による水災害

気候変動がもたらす水災害は日本でも頻発しており、土砂崩れや洪水、浸水などによって甚大な被害を受けています。では、そもそもなぜ、気候変動は起きるのでしょうか。

その理由は、地球温暖化が進むことで海面水位が上昇するからです。自然の水循環の流れにもあるように、海の水が蒸発して雲となり、雲が雨を降らせます。このことから、地球温暖化によって大雨が引き起こされることがわかります。

また、水災害も地震と同様に水道の断水が起こります。そのため、災害時に備えて水を確保していく必要があるのです。

人口増加による水不足

人口が増え続ける中、将来の水不足は世界中で問題となっています。
というのも、そもそも地球上で人が使える水はごくわずかだと言われているからです。

地球にある水の97.5%は海水で、残りの2.5%が淡水なのですが、人が使える水は淡水だけなのです。さらに、実際は淡水の中でもたったの0.001%しか使うことができません。

国土交通省もホームページにて世界中の水不足に対して警笛を鳴らし、「水需要と水ストレス」の中で、水不足と気候変動リスクについて語っています。

*【参考】水資源問題の原因|国土交通省

そのため、将来の水不足に備えて、そのままでは利用できない水を適切に処理することで、水を確保しようという取り組みが急がれています。

水循環の仕組みを利用した水処理システム

水処理装置の画像

人口増加による水不足が問題となる現代では、いかに水資源を有効活用できるかが重要です。

そこで、水循環の仕組みを利用して、そのままでは使用できない水を適切に処理するシステムが普及しています。

水処理システムがあれば、水不足の対策としてだけでなく、災害時の水道インフラの代替えにもなるため、水資源を最大限に活用できるのです。

この水処理システムで処理できる原水には、次のようなものが挙げられます。

  • 雨水
  • 生活排水
  • 工場排水
  • 地下水(井戸水)など
  • 工業用水

雨水を利用する際は、雨水貯水タンクに貯めた雨水を、水洗トイレや掃除の際に使う雑用水へと処理します。そして、雑用水として使われた水(生活排水)は汚水となるため、下水道がない場所では、河川に放流する前に水処理を行わなければいけません。この水処理は、有害物質を多く含む工場排水でも適用されています。

また、これまで排水は捨てるしかないとされていましたが、清浄性の高い水処理システムを使うことで、再び雑用水として再生することが可能となりました。

地下水については、適切な処理を行うことで飲料水を作り出すことができます。そのことから、災害時の水確保対策として非常に有効とされているのです。

日本国内ではまだ実施されていませんが、シンガポールでは既に生活排水(下水)を浄水し、飲料水(水道水)「NEWater(ニューウォーター)」として、供給しています。災害大国日本では、このような柔軟な考え方で飲料水を確保することも重要なBCP対策になると考えられるでしょう。さらに水循環においても、サスティナブルな取組みだと言えます。

*【参考】水の安定供給を実現させたシンガポールの「4つの蛇口」とカーボンゼロへの挑戦|シンガポール経済開発庁

また、地下水の利用は水道水の経費削減にも繋がります。そのため、日常的に大量の水を必要とするホテルや病院などの施設では、地下水浄化装置の導入が増えています。

このように、限られた水源を有効活用するために、水処理システムは非常に役立つ存在だと言えるでしょう。

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