15.井水の利用について徹底解説!用途や利用方法、注意点などを紹介
- 井戸水
井水(井戸水)を利用する際、汲み上げた水をそのまま使用することもできますが、安全性を考慮して適切な水処理を施した方が良いと言えます。また、水処理をしない場合とした場合では、用途も大きく異なってくるため、飲料水や入浴など日常的に水道水の代わりとして使いたい場合は、必ず水処理を行いましょう。
本コラムでは、井水の利用について、用途や利用方法、注意点などを紹介します。井水を安全に使用することができれば、水源の二元化が可能になるなど、非常に大きなメリットが得られるため、井水の利用を検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
井水について
井水とは、地下水を汲み上げて使用する井戸水のことで、昔から家庭で様々な用途として使われてきました。そんな井水ですが、現在では個人だけでなく企業での利用も増えています。
井水の利用が注目されている理由
そもそも井水の水源である地下水は、地上で降った雨や雪が土壌内に浸み込んで少しずつ溜まっていったもので、一度に大量の水を採取しない限りは半永久的になくなりません。とくに日本は比較的雨が多い地域なので、常に地下水が蓄えられていると考えても良いでしょう。
さらに地下水は、土の作用によって自然とろ過されていくため、河川や海よりも水質がきれいだと言われています。また、基本的に水は上から下へと流れるため、地中の上の層にある地下水よりも下の層にある地下水のほうが自然のろ過作用が働き、よりきれいな水質になる傾向にあります。
つまり、井水は安定した量と水質が確保できるというメリットがあるという理由から、BCP対策(事業継続計画)などを必要とする企業から注目を集めているのです。
井水を利用する方法
地下水を汲み上げて井水として利用するためには、まず水を採取するための工事が必要です。地下水のある土壌を掘り、揚水管とポンプを設置します。
このポンプですが、家庭でも施設や工場などでも、利用する場合は電動式を導入することが一般的です。水を汲み上げる原理は、ストローを吸った時に似た状態(真空状態)を作ることで生まれる大気圧を利用して、下から上ヘと水を運びます。
なお、井水は地下水があればどこでも掘削して良いわけではありません。多くの自治体では、地盤沈下や地下水の枯渇、塩水化などを防ぐために条例で採取規制が定められています。
関連記事:「地下水の仕組みについて徹底解説!地下水が溜まる理由や汲み上げ方法は?」
井水の利用用途
地下水を汲み上げた井水(井戸水)は、水道水の代わりとして様々な用途に利用可能です。ただし、水処理をしているかしていないかで水質の安全性に差があるため、用途も異なります。
水処理をしない場合
水処理をしないということは、汲み上げた地下水をそのまま利用するということです。採取する土壌や地表からの深さによって汚れや不純物質の含有量は違いますが、水処理を施さない場合は、次のような人体への影響がないものにしか利用できません。
- 散水(庭への水やり)
- 農業用水(水田や畑の灌漑、農機具や作物の洗浄など)
- 工業用水(洗浄など)
- 消火用水
- 融雪用水
- 洗浄用水(掃除用水・トイレの流し水)
水処理をする場合
水処理と一言に言ってもその種類は様々で、利用目的や水質に合わせて、どのレベルまで浄水するかが変わります。ここでは、数ある水処理方法の中でも最も高い浄水力を持つ「膜処理装置」で処理した場合の用途を紹介します。
- 飲料水
- 調理用水
- 浴用水
- 冷却用水
高度な膜処理装置で浄水した地下水は、水道水同等もしくはそれ以上の高い水質になると言われています。そのため、日常生活でも安心して使用できるだけでなく、断水などの水道トラブルに備えた給水方法として利用する企業も増えているのです。
水処理について詳しくは
こちらもご覧ください。
井水を利用するメリット
地下水を水源とする井水は、水質・水温・水量が安定していることから、災害対策や水道代のコスト削減に繋がるというメリットがあります。具体的にどんな利用価値があるのか確認しましょう。
災害時・断水時の備えになる
井水を利用するメリットとして、災害時や断水時でも水の確保ができるという点があげられます。とくに地震が多い日本では、これまでの大地震の経験から水の確保が重要とされてきました。また近年、断水被害の原因は多様化しており、台風・豪雨や凍結などの気象災害によるものや、地震、その他突発的な水道事故などが挙げられます。
災害時(断水時)に必要とされる水の量は、飲料・食事用が大人1日あたり2〜2.5リットル、トイレや歯磨き、お風呂などに必要な量が10~20リットルだと言われています。さらにこの量を最低でも3日分は備えておいた方が良いのですが、常時からこの量のペットボトル水を準備しておくことは現実的には難しいでしょう。
一方、井水であれば水を地下から汲み上げることができ、さらに井戸自体が地震の影響を受けにくい作りをしています。そのため、水道管のように破損する恐れも少なく、非常事態でも安定的な給水が可能になるのです。このようなメリットがあることから、井水の活用は災害対策に非常に有用的だと言えるでしょう。
水道代の節約になる
生活に必要な水源が二元化できるため、普段使う水の大部分を井水に変えるだけで、水道代を大幅に抑えることが可能です。このメリットは家庭でも感じられますが、日常的に多くの水を必要とする病院や介護施設、宿泊施設、工場などの方がより水道コストの削減が実感できるでしょう。
もちろん井水の汲み上げ工事やろ過装置の導入、定期的なメンテナンスなど、イニシャルコストとランニングコストがかかりますが、水道水を使い続けるよりもトータル費用が安くなると言われています。
なお、ゼオライトでは、設備にかかる費用が気になる企業様向けに、オンサイト方式というプランもご用意しています。これは、設備は自社で持たず、井水を使った分だけ料金を支払うといったサービスです。そのため、装置導入にかかる初期費用を抑えながら、お気軽に井水がご利用いただけます。
井水を利用する際の注意点
井水を安全に利用するためには、水処理装置で適切に浄水することはもちろん、そのほかにも次のような注意点があげられます。
- ろ過装置のメンテナンス
- 定期的な水質検査
- 揚水量を知る・守る
どれも井水の利用には欠かせません。それぞれ、なぜ必要なことなのか詳しく確認しましょう。
ろ過装置の適正なメンテナンス
安心して利用できる井水を継続的に供給するためには、ろ過装置の日常的なメンテナンスと定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンスが不十分だと、水漏れや機械の故障、薬品切れなどが生じ、安全な水を生成することが難しくなるでしょう。
日々のメンテナンスには、塩素の補充および塩素濃度の調節、消耗品の交換などがあります。定期的なメンテナンスでは、ろ過装置の動作確認やろ過材の洗浄・交換、貯水タンクや配管のクリーン洗浄などを行います。
このように、日頃から細かいメンテナンスを徹底し、不備なども速やかに発見・対処すれば、機械の故障や水質汚染などといった大きなトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
関連記事:「7.水処理プラントの保守はなぜ重要なのか?トラブル例と対策も紹介
定期的な水質検査質
水質管理は井水を安全に利用するうえでもっとも重要です。とくに飲料水の場合は、水道法によって水質の基準が定められています。
そのため、家庭で使う井戸水でも水質検査及び水の消毒は必ず行うようにしてください。そのほかの生活用水に使う場合でも安全性を考慮して水質検査は行った方が良いでしょう。なお、井水の水質検査は、一年に一度は行うことがおすすめです。
適正な揚水量を守る
井水を利用する際には、揚水量にも注意が必要です。地下水採取に関しては、法律や条例による規制があるため、その範囲内での揚水を守らなければなりません。
その理由は、地下水を過剰に採取してしまうことで、地盤沈下や塩水化などの問題を引き起こす可能性が高くなるからです。地盤沈下が生じた土壌は、元に戻ることはほとんどなく建物が傾いたり、大雨による洪水などの危険性も考えられます。また、塩水化が進むと地下水に海水が混じってしまうことで、井戸水の飲用不適や、工業用水の水質悪化、農作物への被 害等を生じることが知られています。
とくに宿泊施設や病院など、大型施設で井水を活用する場合は、大量の地下水を汲み上げる必要があります。そのため、各自治体の条例等に従い、採取したい場所にどれくらいの地下水があるのか、どれくらいの量が適正に汲み上げられるのかを確認した上で、井水を利用してください。
なお、ゼオライトでは、地下水が出るかの水源調査から揚水規制と法令確認、関係省庁との協議・申請、工事管理、給水、メンテナンスまでを一貫して提供いたします。
井水に関するご相談はゼオライト株式会社へ
ゼオライト株式会社は、水処理プラント及びメンテナンス事業を軸に、50年以上に渡ってお客様の期待を超える「良質な水」と「サービス」を提供し続けてまいりました。
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