16.井水を安全な水質にする「ろ過装置」とは?仕組みや活用のメリットを解説!
- 井戸水
ろ過装置は、汚れた水や有害物質を含む水を浄水して、安全に利用するためのもの。ろ過装置を使って高度な水処理を施した井水は、水道水と同等もしくはそれ以上の高い水質になるとも言われています。
また、雨水や排水を処理して再利用することもできることから、SDGsの観点やBCP対策としても注目を集めている水処理装置です。
今回のコラムでは、井水の水処理に焦点を当てて、「ろ過装置」がどのようなものかを詳しく解説していきます。また、井水を活用するメリットについても紹介しますので、ろ過装置の導入をご検討の方はぜひ参考にしてください。
目次
そもそも井水とは何か
井水(いすい)とは井戸水とも言い、地下水を汲み上げて使う井戸の水です。汲み上げる地下水の深さによって呼び方が変わり、地表から10mまでの深さにある地下水を浅井戸、地表から20m〜30mよりも深い場所にある地下水を深井戸と呼びます。
浅井戸は地表から近くにあるため一般家庭でも利用しやすく、昔は飲料水や調理用水、生活用水など様々な用途に使われてきました。しかし、浅井戸は周辺環境の影響を受けやすく不純物を多く含む傾向にあることから、現代では、庭への水やりや雑用水などの生活用水として利用されることがほとんどのようです。
一方、深井戸は地下深くから取水するため、周囲の影響に左右されにくい上に、何層にも重なる地層によって自然とろ過されていくため、きれいな水質であることが多いのが特徴です。しかし、深井戸を掘るためには工事費用もかかるので、家庭での利用はほとんどなく、施設などの企業規模での利用が多いでしょう。
なお、井水は適切な水処理を施せば飲み水や調理用水としても使えるため、生活に必要な水資源の確保としてその活用は広がっています。そしてこの井水を飲料水レベルまで浄水できるのが、次で説明する「ろ過装置」なのです。
井水に必要なろ過装置とは
ろ過装置とは、地下水から汲み上げた水に含まれる不純物や微生物を取り除き、きれいな水質にするための水処理装置のこと。いくつか種類があり、浄水したいレベルによって複数の装置を組み合わせて使用します。
ここでは、井水を安全な水質へと変える際に使われる「ろ過装置」の仕組みについて解説していきます。
ろ過装置で井水がきれいになる仕組み
ろ過装置の仕組みを簡単に説明すると、フィルター(ろ過材)に地下水を通すことで、水に含まれる不純物や汚れ、ゴミなどを取り除くというものです。
ろ過材には、砂利や活性炭、イオン交換樹脂、高分子膜など多くの種類があり、原水の水質や目的・用途に合わせて使い分けています。これらのろ過材は、それぞれ孔(隙間)の大きさや密集度が違うため、使うろ過材によって除去できる不純物や微生物が異なります。
基本的に高分子膜は非常に小さな無数の孔を持っており、その孔よりも大きいサイズの不純物は通過できません。孔が小さければ小さいほど、より細かい不純物が除去でき、純度の高いきれいな水が生成されます。
井水を飲料水レベルまで浄水するためには、まずは砂利や活性炭などのろ過材でサイズの大きい不純物をろ過し、原水の水質に応じてさらに細かい隙間を持つ高分子膜で粒子レベルの不純物や微生物を除去していきます。このようにして複数のろ過装置を組み合わせることで、純度の高い水が生成されるのです。
ろ過装置を使って井水が飲料水に変わるまでの流れ
ここでは、高度な水処理技術を誇るゼオライト株式会社の「井水浄化システム」の流れを紹介します。井水を飲料水として利用するまでの水処理の大まかな流れは次の通りです。
- 地下水を汲み上げる
- 前ろ過装置で前処理を行う
- 膜ろ過装置で高度な処理を行う
- 処理水槽で水質監視を行う
①地下水を汲み上げる
まずは、深井戸から地下水を汲み上げて原水槽に貯留します。
ゼオライトでは深井戸から採水するので、地表の影響(汚染)がほとんどありません。もし飲料水の基準を超える不純物などが含まれていた場合は、不純物の内容に合わせた適切な水処理装置を利用します。
②前ろ過装置で前処理を行う
続いて、汲み上げた地下水に混じる砂や砂利、汚れの他、鉄・マンガン・有機成分(色・臭気等)などを除去していきます。
前処理には「砂ろ過」が使われることがほとんどで、通常の飲料水レベルまでろ過することが可能です。この砂ろ過には「急速ろ過」と「緩速ろ過」の2つの方式がありますが、ゼオライトでは一度に大量の水が処理できる急速ろ過方式を採用しています。
③膜ろ過装置で高度な処理を行う
前処理で、ある程度きれいになった水をさらに安全な水質にするために、膜ろ過を使った装置で膜の特性に応じて水中の一定以上の大きさの不純物(懸濁物質、コロイド、細菌類、クリプトスポリジウム等)を除去し水処理をしていきます。通常、膜ろ過には「逆浸透膜」「限外ろ過膜」「ナノろ過膜」「精密ろ過膜」などがありますが、目的や水質によって使い分けます。
ゼオライトは、最も高度な水処理ができる逆浸透膜のろ過装置を得意としています。逆浸透膜で浄水すれば、食中毒の原因となる細菌やウイルスは100%、ダイオキシンなどの有害物質も95%以上除去が可能です。
④処理水槽で水質監視を行う
前処理とろ過膜で適切に処理された水は、処理水槽に貯留され、水質監視システムにより残留塩素濃度を測定し記録します。
また、処理水槽から受水槽へと移されるのですが、その段階で水質に異常が見つかれば、直ちにろ過装置を停止して水道水へと切り替える仕組みです。そして適切に処理された水は、受水槽から給水管を通って私たちの元へと届きます。
水処理について詳しくは
こちらもご覧ください。
ろ過装置を使って井水を活用するメリット
高度な水処理技術で井水を浄水すれば、純度が高くより安全な飲料水が生成できます。飲料水の他にも、調理用水、お風呂、トイレの水洗など、水道水と同じように利用できることから、災害対策や水道代のコスト削減に繋がると言われています。
断水対策になる
断水被害の原因は多様化しており、台風・豪雨や凍結などの気象災害によるものや、地震、その他突発的な水道事故などが挙げられます。十分な量の水が確保できなければ、命が危険にさらされたり、事業の継続が難しくなる可能性も出てくるでしょう。そのため、個人だけでなく企業でも災害時の備えとして水の確保が急がれているのです。
そこで活躍するのが地下水を活用した井水です。地下水は地中に多くの水を蓄えられる上、地震の影響も受けにくい作りであるため、断水しても安全な水質の水が十分に確保できると言われています。とくに常に多くの水を必要とする病院や宿泊施設、工場等では、企業のリスクマネジメントの一貫であるBCP対策としても、井水の活用が非常に注目されているのです。
水道代のコスト削減になる
井水を活用すれば、水源の二元化(水道水と井水)ができることで、水道代のコスト削減にも繋がります。
井水の水源である地下水は、雨や雪が地中に浸透したもので常に循環しています。そのため、一度に大量の地下水を汲み上げない限りは、半永久的に水道水と同等もしくは、水道水よりも高い水質の安全な水が利用できるでしょう。また、地下深くから採水する水なので、水温も安定しています。
なお、井水は設置費用とメンテナンス費用が必要ではありますが、水道水のみを利用するよりも結果として費用が抑えられることが多いのです。
ゼオライトの井水浄化システムは高度なろ過装置を採用
ゼオライトでは、地下水を活用するためのろ過装置(井水浄化システム)に、「逆浸透膜」や「限外ろ過膜」を採用しています。これらの膜処理技術は、ろ過装置の中でも最も高度な処理性能を持ち、水分子以外の物質をほとんど除去できるという特徴があります。
例えば逆浸透膜は、細菌ウイルス類であれば100%、塩分や農薬ヒ素、ダイオキシンなどの有害物質も95%除去可能です。さらに、近年問題となっているPFASについてもPFOSは99%以上、PFOAは92~97%除去できるという研究成果もあります。
井水を適切に処理して活用することは、SDGsの観点やBCP対策として有用的であるため、事業継続に欠かせない存在だと言っても過言ではないでしょう。
関連記事:「PFAS(有機フッ素化合物)とは?規制や除去する方法を徹底解説!」
逆浸透膜に関するご相談はゼオライト株式会社へ
ゼオライト株式会社は、水処理プラント及びメンテナンス事業を軸に、50年以上に渡ってお客様の期待を超える「良質な水」と「サービス」を提供し続けてまいりました。
高い技術提案力とお客様第一主義の精神で、井戸や井戸水(井水)にまつわるお困りごとを解決いたします。
【ゼオライトの実績】
- 逆浸透膜プラント400件以上(専用水道での国内導入数No.1)
- 水処理プラント納入実績1,300件以上
小型の業務用装置から大規模プラント、災害対策用ユニット型浄水設備まで、幅広い対応が可能です。
「まずは逆浸透膜について知りたい」という方も、お気軽にご相談ください。