2023年11月8日

18.井水(井戸水)の水質検査は義務?必要性や飲用する際の検査方法と注意点

  • 井戸水

井戸を掘って地下水を汲み上げる井水(井戸水)は、昔から一般家庭で使われてきました。現在では、水道コスト削減につながるだけでなく断水時の備えにもなることから、多くの病院や宿泊施設などでも活用されています。

そんな有用性の高い井水ですが、導入前に必ず実施しなければならないのが水質検査。この検査は、私たちが安全に水を利用するため必要不可欠なもので、水道法によって定められた基準値を超過していないかなどを確認します。

本コラムでは、井水の水質検査について、その必要性や検査方法、注意点などを詳しく紹介していきます。

井水の水質検査は義務?

井水(井戸水)の水質検査が必要かどうかは、個人で使うのか専用水道として使うのかによって異なります。

一般的に、個人で利用する井水の水質検査は義務ではありません。そのため、庭への水やりなど、人体に影響のない用途であれば水質検査をしない家庭も多いでしょう。

ただし、飲用や浴用など水道水の代わりとして利用する場合は、健康被害を防ぐためにも水質検査を実施するよう厚生労働省や保健所で推奨されています。

一方、専用水道では水道法によって井水の水質検査が義務付けられており、井水を新設した際には、基本的には51項目の水質検査の実施が必要です。

なお、専用水道とは、水道水以外を水源とする施設で、100人を超える居住者に必要な水を供給する場合、または飲用や調理用、浴用など人々の生活に使用する水が一日20立方メートルを超える施設で使われる水道のことを指します。

また、居住者がいなくても、商業施設や宿泊施設などで井水を利用する場合は、この専用水道に該当します。

井水の水質検査が必要な理由

井水の水質検査は、生活に利用する水の安全性を保つために実施されます。人々の健康に被害が及ばないよう必要不可欠だと言えるでしょう。

すべての井水が安全だとは限らない

井水の水質検査が必要な理由の一つに、全ての井水が飲用として利用できるほど安全ではないということがあげられます。

一般的に井水の水源となる地下水は、土の作用によって自然とろ過されていくことから、比較的きれいな水質とされています。しかし、汲み上げる地下水の水質が飲料水に適しているのか、どの程度の浄水が必要なのかを把握するためには水質検査が必要です。

とくに、一般家庭で利用する井水の多くは、地表に近い浅井戸を利用することが多く、周囲の環境によって水質が変化しやすいため、地下深くにある深井戸よりも水質が劣る傾向にあります。そのため、水質検査が義務ではない個人の場合でも、安全性を考慮して検査を実施した上で井水を利用しましょう。

なお、一度水質検査をして安全が確認された井水でも時間が経てば水質が変わることもあるため、定期的な水質検査の実施が必要です。

井水の水質検査は水道法で定められている

井水の水質検査が必要なもう一つの理由は、水道法第4条によって水質検査が定められているからです。

これは水道水(専用水道)に適用される法律ではありますが、前述した通り、一般家庭で井水を飲用水として利用する場合も保健所など各自治体によって水質検査が推奨されています。

それではここで、厚生労働省「水道法」より抜粋した内容を紹介します。

水道により供給される水は、次の各号に掲げる要件を備えるものでなければならない。

①病原生物に汚染され、又は病原生物に汚染されたことを疑わせるような生物若しくは物質を含むもので ないこと。
②シアン、水銀その他有毒物質を含まないこと。
③銅、鉄、ふっ素、フェノールその他の物質をその許容量をこえて含まないこと。

引用:厚生労働省「水道法(昭和32年6月15日法律第177号)

上記からも分かるように、使用する井水が規定に沿っているかを把握するためにも、水質検査は必ず実施しなければなりません。

さらに水質検査後は、水道法第22条によって「水の消毒」も実施するよう義務付けられていることも知っておきましょう。これは、井水が飲用水として利用できる基準の水質にするために必要なことです。

水処理について詳しくは
こちらもご覧ください。

井水の水質検査をする方法

井水の水質検査をする方法

井水の水質検査は、検査キットを購入して自分で検査する方法と専門業者に依頼する方法があります。ここではそれぞれの方法やメリット・デメリットなどを紹介します。

自分で検査可能な簡易水質検査キット

簡易的な水質検査キットには試験紙タイプや液体タイプ、デジタル機器タイプなどがあります。いずれも簡単に測定できますが、検査項目数が少なかったり精度がそこまで高くないこともあるので、庭への水やりなどに利用する場合におすすめです。

専門業者に水質検査を依頼する

簡易検査キットの水質検査よりもさらに精度の高い検査が行えるのが、自治体や保健所、民間の検査機関で行われる検査です。

水質検査を依頼する場合、通常は井水の保有者自身で保健所に出向き、検査依頼書を準備して、もらった容器に採水した井水を入れ、保健所へ提出する流れです。なお、各保健所ごとに検査受付日が異なります。依頼の際は地域の保健所ホームページなどで確認しておきましょう。

上記のように、自分で保健所に依頼する形でも問題ありませんが、採水時の衛生管理などを考慮すれば、水質検査や保健所への依頼などを代行してくれる民間の業者を利用することをおすすめします。

特に専用水道で飲用水として使用する井水を新設した際には、51項目の水質検査の実施、及び確実に安全な水質であることの証明が必要であるため、専門の業者に代行依頼をお願いした方が良いでしょう。

井水の水質検査をする際の注意点

井水の水質検査をする際の注意点

適切に水質検査が実施されなければ、水質基準値以上の水を気づかないまま飲用してしまうという可能性も出てくるでしょう。そのため、個人・専用水道に関わらず水質検査を実施する際は、採水方法や検査頻度などに注意が必要です。

採水時は地下水以外の物質の混入に注意する

自分で井水の水質検査を行う際は、汲み上げる地下水に外から混入する物質がないよう、細心の注意を払って採水を行います。

もし手に付着した細菌などが混入してしまえば、検査結果にも影響してくる可能性もあるため、採水前はしっかりと手を洗うようにしてください。また、雨天時は雨水が混入する恐れがあるので、なるべく晴れた日に採水しましょう。

そのほか、採水した水を入れる保存容器も衛生的に保つなど、様々な注意が必要となるため、水質検査は自身で行うよりも専門業者に依頼した方が正確に検査ができると言えます。

年に一度以上は水質検査を行う

井水を飲用として利用する場合は、年に一度は水質検査を実施し、水質基準に適合した水かどうかを確認しましょう。

これは、厚生労働省の「飲用井戸等衛生対策要領」及び、各自治体の保健所でも推奨されており、専用水道においては水道法第20条で定められています。

なぜ、定期的に検査をする必要があるのかというと、地下水は周囲の影響を受けて水質が変わることがあるからです。そのため、過去に水質検査をして問題がなかったとしても、定期的に検査をして、常に安全な水質であるかを確認しなければなりません。

井水の水質検査は専門業者に依頼するのがおすすめ

水質検査の基準や項目は、常に変化するものであり、過去にも法律の改正などが行われてきました。

現在では有害性が指摘される「PFAS」という物質の地下水や水道水への残留が懸念されており、世界的に対策が急がれています。このPFASに関して、、日本では令和2年4月1日から、水道水中のPFOS及びPFOAは、国の水質管理目標設定項目(暫定目標値:PFOSとPFOAの合算で50ng/L以下)に設定されました。今後、さらに厳しい規制値などが定められる可能性もあるでしょう。

これらの観点から、精度の高い水質検査を行うことと、法令などの情報をタイムリーに把握することは、安全に井水を利用し続けるためには欠かせないということが分かります。

しかし、水質検査は専門的な内容となるので、一般の方では情報のキャッチや判断が難しいことも多く、水質検査のプロフェッショナルである機関や民間業者に依頼することが望ましいのです。

私たちゼオライトでも水質検査を行っており、検査結果が水道法の基準値を超える場合には、それを除去するためのプラント(水処理設備)のご提案もしているため、安心してご相談ください。

また、プラント導入後も安全に井水を利用していただくため、公的機関による検査を定期的に行います。

上記のような定期的な水質検査の他にも、水処理プラントのメンテナンスや遠隔システムによる24時間365日監視体制などを実現し、常に安全な水を給水することをお約束します。

水質基準を超過した水にお悩みの方や「精度の高い水質検査を行いたい」とお考えの方は、採水からプラントの提案まで対応可能なゼオライトにご相談ください。

井水の水質検査に関するご相談はゼオライト株式会社へ

ゼオライト株式会社は、水処理プラント及びメンテナンス事業を軸に、50年以上に渡ってお客様の期待を超える「良質な水」と「サービス」を提供し続けてまいりました。

高い技術提案力とお客様第一主義の精神で、井戸や井戸水(井水)にまつわるお困りごとを解決いたします。

【ゼオライトの実績】

  • 逆浸透膜プラント400件以上(専用水道での国内導入数No.1)
  • 水処理プラント納入実績1,300件以上

小型の業務用装置から大規模プラント、災害対策用ユニット型浄水設備まで、幅広い対応が可能です。

「まずは逆浸透膜について知りたい」という方も、お気軽にご相談ください。

水処理について詳しくは
こちらもご覧ください。